寄贈された絵の横に立つ木内社長
塚越寿さん

 「上州のシーラカンス」の愛称で親しまれる国内最古級の電気機関車「デキ」を描いた100号の絵画が、上信電鉄(群馬県高崎市鶴見町、木内幸一社長)に寄贈された。同社は1924年にドイツから輸入したデキ2台を保有しており、車両は同社にとって貴重な財産。全国にファンも多いことから、細部まで再現された絵画をイベントで披露するなど活用していく考えだ。

 絵画を寄贈したのは藤岡市の画家で、日洋会群馬支部長の塚越寿さん(80)。失われていく風景を惜しみ、南牧村や下仁田町の町並みなどを描いてきた。

 デキの絵もその延長線上にある。「米寿の節目にどうしても(後世に)残したいものとして描きたい」との思いを同社に伝え、車両を間近に見られる高崎駅構内での見学が特別に許可された。複数回にわたってスケッチや写真撮影をして制作を進め、デキが静態保存されている富岡市の公園にも何度も通ったという。

 特徴的な凸型が分かる横からではなく、あえて正面から描いた。サビの様子やリベットの位置、日の差し込み具合まで再現し、背景に高崎市街地や富岡製糸場など沿線の風景を盛り込んだ。作品は5~6月の日洋展(東京)に出品。無事に展示が終わったことを報告した際、寄贈が決まった。

 塚越さんは「保管場所の問題もあり、処分することも考えていた。絵も命拾いした」と喜んでいる。細部まで再現されていることや絵画の大きさに驚いたという木内社長は「デキが多くの人に愛され、関心を持たれていることを改めて感じた」と話した。