紙芝居を手作りし、地域の民話を語り継ぐ活動に取り組む伊勢崎市殖蓮公民館のサークル「まんてん紙芝居の会」(橋詰京子会長)が、発足から20年を迎えた。紙芝居制作を続けながら、精力的に地元の幼稚園や小学校、イベントに出向いてきたが、20年の節目を迎え、来年度以降は新たに小学6年生が低学年の児童に読み聞かせする取り組みを計画している。
同会は、同公民館の「紙芝居づくり講座」の受講生らが2003年に発足させた。20年に亡くなった郷土史家の星野正明さん(享年86歳)の指導を受け、星野さんがまとめた地元の昔話を元に紙芝居を制作。受講者らがこれまで作った紙芝居は、約40話に上る。
地元の権現山を舞台にした、山伏親子とオオカミの親子の物語「ごんげん山の狼(おおかみ)」や、天狗(てんぐ)が書き置いた書で恵の雨が降る「天狗ののこした謎の文字」、伊勢崎空襲の被害者を題材した「星になった母」など、いずれも手作りのオリジナル作品だ。市消費生活センターの依頼を受け、悪質商法の対処法を紹介する作品を手がけたこともある。
20年の節目を迎えたことを機に、来年度以降は小学6年生に紙芝居の実演を指導し、低学年の児童に読み聞かせる新たな取り組みを始める予定。同会は現在8人の会員が月に1度ほど、地元の殖蓮幼稚園と殖蓮小、殖蓮第二小で読み聞かせをしている。子どもたちに主体的に紙芝居に関わってもらうことで、読む側と聞く側の双方に好影響があると期待する。橋詰会長(68)は「地域で語り継がれている話や歴史に興味を持つきっかけになるとうれしい」と話す。
同会の作品は冊子にまとめられ、市立図書館などに配布している。複製した紙芝居は同公民館で借りることもできる。問い合わせは同公民館(☎0270-26-4560)へ。