▼「相手の立場でものを考える人でした」。映画「男はつらいよ」シリーズで渥美清さん演じる寅次郎の妹、さくら役を務めた女優、歌手の倍賞千恵子さんが、渥美さんに教えられた生き方だ

 ▼たとえば、緊張してスタジオに入れないでいた俳優を心配した渥美さんが、落ち着かせようと控室まで迎えに行ったことがある。体調が悪化してつらかった時期だ。そんな気遣いを、亡くなってから思い知ったという。前橋での講演で語っていた

 ▼共通する姿勢に胸を打たれた。「長寿社会・私のメッセージコンクール」(県長寿社会づくり財団主催)小学校低学年の部で最優秀賞になった高野侑加(こうのゆうか)さん(吉岡駒寄小3年)の「おばあちゃんのわらい声」だ

 ▼毎日のように知り合いが訪れてくる祖母は、農家の仕事がどんなに忙しくても家に招き入れ、楽しそうにおしゃべりをしている。そんな姿を高野さんは、こう受け止める

 ▼〈自分のことは後回し。いつも相手のよろこぶことを考えているんだね〉。そして自分も〈えがおを大切にできる大人になりたい〉と。ところがコロナ禍で思うようにおしゃべりできなくなってしまった

 ▼高野さんは、友だちと一緒に過ごす時間の大切さを改めて知り、〈早くまたみんなでにぎやかに集まれればいいな〉と願う。人を思いやる心の尊さを伝えてくれるメッセージだ。