京都大と日立製作所は2017年9月、人工知能(AI)を活用して持続可能な日本の未来に向けた政策を提言しました。同大の広井良典教授が日立京大ラボの研究チームと行ったものです。今から4年前の発表ですが、少子高齢化やポスト成長時代へのシフト、環境資源の持続性といった課題を踏まえ、50年に日本は持続可能かを問い掛けた内容でした。

 持続可能性の基準は①人口②財政・社会保障③地域④環境・資源―の四つで、AIを使った約2万通りのシミュレーションから大きな社会的分岐点が存在することが分かりました。日本社会の未来を左右する持続可能性で最も大きな争点となったのは、東京一極集中に代表される都市集中型か地方分散型かということです。本県は大都市東京に近く、さまざまな面でその恩恵を受けることが多くあります。一方、国の推計で、50年の本県の人口は現在の4分の3程度の約146万人になると発表されていますので、本県でも由々しき事態と言えるでしょう。

 人口減少や脱成長社会を迎えるに当たり、豊かさの基準を国内総生産(GDP)だけで判断するのではなく、健康や環境なども含めた「幸福度」をどのような指標で反映させるかは国際的にも議論されているところです。GDPのみを追求する方針の政治では、地方分散型社会への転換に向けて多くの熱量を集められるとは思えません。

 地方には豊かな自然が存在します。豊かな自然への優れたアクセスを持つ地方都市もあります。エネルギー自給率や木材自給率など各種自給率の低い日本にとって、諸外国との優良な関係性を保ち、外交努力を続けることは欠かせません。しかしそれ以上に、国内需要が減っていく中で地方社会が持続可能であるためには、1次産業、2次産業を中心に地方のアイデアと活力をどのように引き出すことができるかが問われていると感じます。

 地方には、大都市の旺盛なエネルギーを賄えるほどではないものの豊かな資源が存在しています。地方が多様な価値や文化を醸成し、持続していくに足りる素材はあふれていると思います。そこに目を向け、視座を共有し、実践しながらノウハウを蓄積していく行為が、地方分散型社会システムへの転換に向けて大切な一歩になると考えます。

 広井教授が政策提言として指摘した転換期まであと5年余り。地域の未来を考えたとき、課題解決に向けたアクションを多くの人が自分事として考えていく土壌づくりが急務です。これから1年間、浅間北麓で循環型の地域未来創造事業を推進して気が付いたことを提言していきます。

 さあ、やってみんべえ。

 【略歴】2003年にきたもっく入社後、一時退社して都内でキャンプ場予約システム構築などに従事。10年から現職。林業6次産業化を担当する。法政大中退。

2021/12/07掲載