▼子どもの発想にハッとさせられることがある。本紙オピニオン委員を務める群馬医療福祉大教授、時田詠子さんの視点(1月5日付)を読んで、改めてそんなふうに思った。20年ほど前に小学1年を担任していた頃のエピソードだ

 ▼廊下掃除で、1年と2年の境目の床がきれいにならないことを相談した。ある児童が七夕飾りの輪飾りを例に挙げ、「輪っかののりを付ける所みたいに、1年と2年の両方がそこをお掃除すれば、ピカピカになるよ」と応じたという

 ▼確かにのり付けした部分の輪飾りは紙が重なり二重になる。時田さんは、この児童から教えられた考え方を「のりしろの心」と名付け、学校や教育の現場での応用を説いた

 ▼悪質なあおり運転が問題になったり、児童虐待で幼い命が奪われる事件が繰り返されたりして、やるせない思いが募る。他者を思いやる心がますます必要とされていると感じる

 ▼それは国と国の関係にも当てはまらないか。自国第一主義がはびこる昨今である。政治思想や体制などが異なる国家間の交渉は一筋縄ではいかず、安易な妥協が許されない場面も多いだろう。だが根っこには寛容の精神があってほしい

 ▼ハノイで開かれた米朝首脳会談は合意に至らなかった。ただ協議の積み重ねには意義がある。ここからが正念場だ。粘り強く対話を続けることを望む。