▼「君が代」以上に「群馬県の歌」を歌いたいと言ったら、国歌に失礼だろうか。「明治150年」の今年だが、現在の県歌はちょうど50年前の1968年10月、県の明治100年記念事業で制定された

 ▼楽曲としての完成度について尾瀬の歌「夏の思い出」の作曲で知られる中田喜直さんは生前、君が代に疑問を呈していた。〈旋律と詞の数が一致しない。声に出すと♪きみがあよおは ちよにいい-となってぎこちない〉との趣旨だ

 ▼一方で〈晴れやかな赤城の空は よろこびの歌ごえ高く〉と歌い上げる県歌は、高草木昭允(てるちか)さんの詞と服部良一さんの曲が豊かに響き合う。国歌には襟を正して向き合うとしても、県歌を下に置こうとは思えないのだ

 ▼だが県歌を知らない人が増えている。群馬テレビで放送開始・終了時に流されているが、若い世代への浸透度は決して高くない

 ▼そんな時節がら、声楽家で群馬音楽協会長の松原真介さん(藤岡)は演奏会や合唱指導で県歌を歌い続ける。テレビで流れる県歌のレコード(86年録音)で自ら歌っている縁もあり「上毛かるたをするように、皆で口ずさんでほしい」と話す

 ▼〈降る雪や明治は遠くなりにけり〉(中村草田男)と詠んだ昭和の時代さえ、すでに遠い。歌が短いサイクルで消費され消えていくこの頃、輝き続けてほしい郷土の歌である。