新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」の出現を受けた政府の入国規制強化が、群馬県に住む外国人らに波紋を広げている。外国語指導助手(ALT)として県内への赴任が決まっているにもかかわらず、入国できず足止めを強いられているケースがあるほか、クリスマス休暇を前にした県内在住者も、日本に再入国できなくなる恐れがあるとして一時帰国に二の足を踏んでいる状況だ。

仕事辞め準備

 「3月には群馬にいるはずだったのに、12月になった今もまだ見通せない」。米ミネソタ州に住む女性(29)は入国できない状況を嘆く。

 1月に、ALTとして東毛地域に赴任することが決まった。来日を見据えて仕事を辞め、荷物も処分した後、入国規制のため足止めを食った。11月8日の規制緩和で「今度こそは」とアパートの解約手続きを済ませ、車を売り、航空券を予約したが、同30日の新規入国停止で再び来日の見通しが不透明になった。「行く場所も、仕事も車もない。精神的にとてもつらい」

 女性は来月まで居住が認められた解約済みアパートで生活する。日本の入国規制について「オミクロン株対策で国境を閉じたのは日本だけではない」と理解を示しつつ、「この状況がずっと続くのでは」と不安を隠さない。

 赴任予定の東毛地域の教育委員会は取材に、「ALTの紹介は派遣機関に一任し、誰が来るかまでは把握できていない」とした。

家族の葬儀に

 入国規制の影響は県内在住者にも及ぶ。高橋アレックスさん(26)=高崎市=は米国の家族と3年会えていない。ワクチン接種を済ませており、今年結婚した日本人の夫を家族に会わせるため一時帰国を検討中だが、不安は大きい。「感染状況によっては、米国からの再入国が拒否されるかもしれない。そうなれば日本人の夫は日本に戻れても、私は帰れなくなる」

 別の20代米国人女性は家族の葬儀のため、米国便を予約した。「私が出席できるように葬儀日程を調整してもらっているけれど、(日本の)入国規制が頻繁に変わっているので不安」と話す。昨年、米国に住む父親をコロナで亡くした玉村町の男性(44)は「日本には家族がいて仕事もある。検疫期間を考えると帰れなかった」と悔しさをにじませた。

 中之条町に住む米国人、ジェシー・フラーさん(40)は「ウイルスはパスポートをチェックしない。日本に住む外国人の再入国は、日本人と同じに扱って」と訴える。別の米国人女性は「遊びや観光で日本にいるわけではない。どうかそれを分かってほしい」と求めている。

 【メモ】日本政府は11月30日~12月31日、外国人の新規入国を原則停止している。日本に住む外国人が再入国許可を持って出国する場合は「特段の事情」として日本への入国を認めているが、滞在国の感染状況によっては再入国拒否となる場合がある。