▼「旗振り」と辞書で引くと、〈(1)合図の旗を振ること。また、その人(2)転じて、事業・運動の宣伝や応援を先頭に立ってすること。また、その人〉とある(『広辞苑』)。子どもを持つ人は〈(3) 通学路の横断歩道に立ち、子どもを安全に通行させる〉が加わるのでは

 ▼筆者も経験がある。年数回、黄色い旗を手に交差点に立つ。共働きや一人親世帯の負担感から不要論もあるようだが、わが子以外の子の様子を知る機会として前向きに捉えたい

 ▼交差点に立ったり、行き帰りに通学路を見たりして気になることがある。「車の通行量が多いのに道が狭いな」「この塀は地震の時に大丈夫だろうか」

 ▼気にはなっても、学校や行政に伝えることはなかった。「これではいけない」と省みる文章に出合った。熊本日日新聞社が、2016年に発生した熊本地震の体験記を集めて出版した『手記 私と熊本地震』にあった

 ▼阪神大震災でボランティアを体験した男性の手記だ。地元に戻ると、小学校を囲うコンクリート塀が気掛かりになった。地震による倒壊を恐れ、市長に掛け合った

 ▼数カ月後、金網のフェンスに変わったという。熊本地震で小学校は避難所になった。男性は〈もし、コンクリート塀が残っていたら、と思うといまさらながらぞっとする〉と記す。危険性が気になったら、声を上げなければ。