▼テレビ番組の「池の水ぜんぶ抜く大作戦」(テレビ東京)を見ると、悲喜こもごもだ。ため池やら城のお堀やら、長年ほったらかしの水を抜き、ウシガエル、ライギョといった外来種が悪役のようにして出てくる

 ▼外国から来たという理由で退治するのは、かわいそうではないかと思いつつ、日本の生態系は守らねばならない。美しい自然は残さねばならない

 ▼実は今、国立公園の尾瀬の姿が様変わりしつつあり、もっと複雑な悩みを抱える。ヤチヤナギというヤマモモ科の低小木が尾瀬ケ原で増えている。その影響で、ミズバショウをはじめとした花々の自生地が減っているという

 ▼本紙の報道でヤチヤナギの問題が初めて伝えられたのは1991年のこと。一般的な関心はさほど高まらないでいたが、先週の尾瀬サミットでは第4次尾瀬総合学術調査の中間報告で現況がリポートされた

 ▼尾瀬を愛する人は口々に言う。「このままでは花がやられて、尾瀬らしさがなくなってしまう」「ボランティアを募って駆除したらどうか」

 ▼だが、ヤチヤナギは外来種でもなく、尾瀬の植生に勝手に手を入れることは自然保護のルールに反する。ありのままの姿に価値があるとする考え方だ。人を魅了する尾瀬らしさと、自然のありのままの姿と、どちらが大切なのだろうか。何を守っていくべきなのだろうか。