▼「新しい元号は『平成』であります」。1989年1月7日、当時の竹下内閣で官房長官だった故小渕恵三元首相は緊張した面持ちで新元号を発表した。翌8日、平成時代の幕が開いた

 ▼平成は、中国の史記にある「内平らかに外成る」と書経の「地平らかに天成る」から引用された。「国の内外にも天地にも平和が達成されるという意味が込められている」。会見で小渕氏は首相談話を披露した

 ▼その平成があと1年余りで終わる。天皇陛下の退位や新天皇即位に関連する一連の儀式の日程も決まった。新しい時代に向けて準備が進むが、政治・行政の現状に目を向けると穏やかではいられない

 ▼働き方改革を巡る不適切なデータ処理やなくなったとされる原票の発見。森友学園への国有地売却問題での決裁文書の改ざん。自衛隊イラク派遣部隊の日報隠蔽いんぺい。国の公的な文書や情報を巡って、次々に問題が発覚した

 ▼人口減少社会への対応や混沌こんとんとする東アジア情勢など、国が直ちに取り組むべき課題は山積している。だが、現在は国民の信頼が揺らいできている。「内平らか」とはほど遠い状況だ

 ▼9日に群馬県内の公立小中学校で入学式が行われた。10日には公立高校でも、新入生を迎え入れる。新しい時代を担う子どもたちのためにも、国は一連の問題に始末をつけ、信頼回復を急ぐ必要がある。