▼1枚の紙切れが複数の国の運命を決めてしまうことがある。第2次世界大戦中の1944年10月、英国のチャーチル首相とソ連のスターリン書記長が交わした「パーセンテージ合意」のことだ

 ▼バルカン半島周辺5カ国の支配権を戦後どうするかについて、ソ連を訪れたチャーチルは国名とパーセンテージを示す数字をメモ用紙に手書きした。受け取ったスターリンはそれに丸を付けて返し、勢力分割の合意が成立した

 ▼このメモは英国立公文書館に保管されており、手に取って見ることができるという。在英ジャーナリスト、小林恭子氏の近著「英国公文書の世界史」に詳しい

 ▼チャーチル自身も負い目を感じていたというメモだが、きちんと残しておくことで歴史の検証が可能になる。国内で公文書の適正保管の必要性を訴えたのは福田康夫元首相だ。公文書管理法制定を主導した

 ▼昨夏、本紙に掲載されたインタビューで福田氏は「公文書を残すことは日本の国の形を記録として残すことであり、正しい歴史を後世に残す作業だ」と述べた。公文書管理については公務員のモラルの重要性を指摘した

 ▼森友学園への国有地売却に関する決裁文書改ざんは、この国の公文書に対する意識の低さを浮き彫りにした。きょう同問題で参院予算委員会集中審議がある。国民の不信感は拭い去られるか。