▼10年くらい続けたらやめようと思っていた。ところが無我夢中でやっているうちに25年たっていた

 ▼1974年に創刊した月刊郷土文化誌「上州路」(15号まで「かなえ」)の第300号で、編集・発行人の関口ふさのさんが足跡を振り返り、長く続けられた理由を書いている。〈「無から有」が生じるのです。仕事が面白いのは当然のことかもしれません〉と

 ▼郷土の歴史、文化、人、自然、産業などを特集で深く掘り下げる姿勢が支持され、2007年まで33年間発行、通巻400号にも及んだ。この蓄積をとらえ「上州百科」と表現した人がいた

 ▼多岐にわたる特集テーマをたどると、まさにその言葉通り。群馬では大正初めから戦中まで出た郷土史研究誌「上毛及上毛人」と並ぶ価値ある雑誌である

 ▼「上州路」発行に心血を注いだ関口さんが92歳で亡くなった。高崎に生まれ、銀行を退職後、出版社「あさを社」を創設。この雑誌づくりとともに、俳句結社の主宰者、県俳句作家協会長、県文学賞選考委員、上毛新聞「上毛俳壇」選者などを長年務めた

 ▼終刊号の「あいさつ」の言葉が胸に残る。〈積み残したものはありますが、これは人の世が続く限り、私共が生きている限り終わりはないと思います〉。特集の一つ一つから、地域文化の掘り起こしに終わりはないのだという編集者魂が伝わってくる。