▼前橋市の市街地を流れる広瀬川・諏訪橋のほとりに新しい風景が生まれようとしている。土盛りで造られた緩やかな丘は植栽が進み、芸術家の故・岡本太郎さんのモニュメント「太陽の鐘」が置かれた

 ▼1966年、日本通運(東京都)が静岡県内のレジャー施設に設置したが、閉園後は見ることができなかった幻の作品。まちづくりを支援する民間団体「太陽の会」の活動に賛同した同社から市に寄贈された

 ▼市内に拠点を置く企業でつくる同会は毎年純利益の1%(最低額100万円)を寄付金として拠出。鐘設置は事業第1弾で費用約3000万円を負担し、周辺整備を市が担った

 ▼地方都市の市街地再生は長年、行政主導で行われてきたが、成功例は乏しい。その難題を役所頼みにせず、あえて身銭を切って官民連携の新たな形で挑む。会員を支えるのは、ふるさとへの強い思いだろう

 ▼内なる創作欲求にのみ従い、独自の道を切り開いた岡本さんの著書には挑戦する者を後押しする言葉が並ぶ。〈自分の信じること、こうだと思うことに、わき目もふらず突き進むだけだ〉(イースト・プレス刊『壁を破る言葉』)

 ▼太陽の鐘の完成を祝うイベントは31日に開かれ、鐘が打ち鳴らされる。官民手を取り進む道は今度こそ開けるか。鐘の音が県都再生の福音となるのか。市民は見守っている。