▼歴史研究に関わる多くの著作を残した萩原進さん(1913~1997年)にとって郷土史家として最も脂ののった時期だったのではないか

 ▼1967年から翌年にかけ上毛新聞に連載し書籍になった『上州人』(185回)と『上州百年』(178回)を読むと、幅広い知識に裏付けされた独自の視点に圧倒される

 ▼とりわけ明治維新から100年の節目に合わせ群馬の1世紀の歩みを取り上げた『上州百年』には冒頭から引き付けられた。横浜開港に上州人の活躍が欠かせなかったことを、中居屋重兵衛らの事績を挙げ紹介したうえで、こう指摘した

 ▼〈上州と横浜は離すことのできない歴史をつくり出した。(略)日本の近代と上州の明治百年が離すことのできない関係にあることが明らかだからである〉

 ▼「富岡製糸場と絹産業遺産群」が世界文化遺産に登録されている今なら日本の近代化への貢献の大きさを理解できる。しかし当時であればどうか。蚕糸業の隆盛を群馬の100年の最も大きな特質ととらえたその確かな目に驚かされる

 ▼維新から150年。政府は内閣官房に「明治150年」関連施策推進室を設置、記念事業を行い、全国各地でもさまざまな催しが始まっている。誇りと愛着を持てるようになった群馬の絹産業の歴史と文化についてさらに深く掘り下げる機会にしたい。