前橋市の孝顕寺にある11代目松平直克の墓前で、本の刊行を報告する直孝さん(右)と庭野さん

 群馬県前橋市の偉人、自然、埋もれた歴史などを紹介する前橋学ブックレットの28号が刊行された。「引っ越し大名 松平大和守家」と題して、最後の前橋藩主となった同家の歴史を紹介している。

 同家18代目の松平直孝(なおゆき)さん(49)=同市上佐鳥町=と、同家を顕彰する「結城松平博喩堂(はくゆどう)報恩舎」理事の庭野剛治さん(47)=同市住吉町=が執筆した。

 同家は統治場所を移る「転封」を12回も繰り返し、引っ越し大名の異名を持つ。前橋は1749~67年と、1867~71年に直接治めた。本書は章ごとに家の歴史、歴代藩主、屋敷と宝、ゆかりの寺社をまとめている。

 執筆に向けた調査で、市内の民家に松平大和守家から拝領した盃が残っていること、別の民家には15代直冨(なおひさ)の夫人が記した「徳川家康の遺訓」の額装と掛け軸があることが分かり、写真付きで掲載している。

 同家は全国を転封している上、都内の屋敷が東京大空襲で焼失したため、資料の収集が難しい中での執筆となった。庭野さんは「同家の外に出た資料をつなぎ合わせる作業となった。本にまとまったことは意味がある」としている。直孝さんは「この本が呼び水となり、さらなる資料が集まることに期待したい」と話している。

 前橋学ブックレットは市が企画し、上毛新聞社が編集・発行。A5判、62ページ。660円。県内の主要書店や上毛新聞取り扱い販売店で購入できる。