▼70年前に発行された「上毛かるた」の生みの親で、後に二松学舎大学長となる浦野匡彦まさひこさん(1910-86年)が旧制前橋中学校に入学したのは24(大正13)年のこと

 ▼同じ年、歴史研究家の丸山清康さん(01-66年)が同中に教師として赴任。生徒を引き連れて県内の史跡や名所を歩き、歴史や時代背景を親身に教えてくれたという。浦野さんはそんな丸山さんを尊敬した(『浦野匡彦伝』)

 ▼終戦直後、上毛かるたを構想した当初から、読み札の解説文をこの恩師に書いてもらうことを決めていた。絵札は丸山さんがいとこに当たる画家の小見辰男さん(04~83年)に依頼した

 ▼2人は現地視察も含む綿密な資料調査の末に完成させた。なんと幸運な巡り合わせだろう。丸山さんはその後、「群馬文化の会」を設立し、群馬県の地方史研究の推進役として活躍した人物。小見さんも、前橋空襲直後の市街地スケッチや萩原朔太郎の郷土望景詩の風景などを描いた

 ▼「子供の郷土愛を育てることが復興につながる」との浦野さんの理念と、それに深く共感した丸山さんら多くの優れた人材の力が重なり合い、「全国一の郷土かるた」づくりにつながったことがわかる

 ▼28日には、「上毛かるた70周年記念シンポジウム」が前橋市で開かれる。製作に関わった先人たちの熱い思いを若い世代に伝える機会にしたい。