▼本音と建前が入り混じる人間社会、立派なことを言っても行動に示されるとは限らない。根絶が叫ばれながら公共工事の談合が絶えないのは、きれいごとではやっていけないといった、法の正義と矛盾する考え方が社会に巣くっているからだろうか

 ▼リニア中央新幹線建設工事を巡り不正があったとみられ、連日のように報道されている。東京地検特捜部の家宅捜索を受けた大手ゼネコン、大林組は10年ほど前、他の大手3社と共に「談合決別宣言」を行った。社の定款に談合防止の条文まで盛り込んだという

 ▼渋川市で3年近く前、官製談合・贈収賄事件があり、常態化した談合の実状が明らかになった。過去にさかのぼれば、旧赤堀町の公共工事で40年間にわたり談合が行われていた例もある

 ▼不正が表面化するたび、氷山の一角と言われる。受注業者をそれとなくまとめる仕切り役がいて、談合は必要悪という声さえ聞かれる

 ▼法学者の川島武宜が『日本人の法意識』を著し、法と実社会の意識のずれを問題提起したのは1967年のこと。同著は50年のロングセラーとなるが、内容が色あせない現状は悩ましい

 ▼そもそも国の成り立ちからして、安保法制などを解釈改憲で対応し、平和憲法と二重構造のように映る。二枚舌は風通しが悪い。本音と建前の距離は縮めた方がいいに決まっている。