▼「僕の講演では子どもを外に連れて行ったりしないで、どんどん泣かせてもらって大丈夫ですよ」。11月中旬に伊勢崎市で開かれた講演会の冒頭、講師を務めた俳優の宇梶剛士さんが会場内に語り掛けた

 ▼400人が集まった会場には幼い子を抱く母親の姿もあり、講演の途中には実際に泣き声や大きな声が響く場面があった。そんな時、宇梶さんは「元気でいいですね」と声を掛けて雰囲気を和ませていた

 ▼同月下旬、熊本市議が乳児の長男を抱いて議席に座り、議員以外は議場に入れないとする規則に反するとして押し問答になったとのニュースがあり、ふと宇梶さんの講演を思い出した

 ▼市議は今月、議会のルールに抵触し、議事進行を妨げたとして厳重注意を受けたという。「(子育てと仕事の)両立に悩む多くの声を見える形にしたかった」と説明したとされ、その行動には賛否両論の反応があった

 ▼映画監督の紀里谷和明さんが短文投稿サイト(ツイッター)で自身の制作現場で子連れを認めていることを紹介し、それに対する意見が寄せられるなど反響が広がっている。議会とは環境が異なるが、宇梶さんの姿勢も一つの考え方だろう

 ▼少子化で人口減が進む現代に対応した子育てや仕事、生活スタイルの構築は欠かせない。市議の行動の是非は別として将来につながる議論が深まるといい。