▼今年7月に発生した九州北部豪雨は福岡、大分両県で死者・行方不明者41人と甚大な被害をもたらした。被災地の復旧状況を視察するため大分県日田市を訪れた

 ▼土石流が発生した山肌むき出しの斜面近くで、堤防を失った河川の復旧工事が続けられていた。集落に車ほどの巨石が幾つも転がり、民家は1階天井まで埋まったままだ

 ▼市面積の8割を森林が占める。水資源に恵まれ、内陸の交通の要衝でもあると聞き、群馬県との共通点が多い。同時に、豊かな山林を有する群馬県は土砂災害の危険と隣り合わせなのだと改めて気付かされた

 ▼1947年のカスリーン台風では多数の土石流で群馬県の592人が亡くなったのをはじめ、利根川決壊などで6都県計1100人余りが犠牲となった

 ▼都内で先月開かれたカスリーン台風70年シンポジウムで、治水施設は当時の雨量を受け止めるには今なお不十分だと報告された。群馬大大学院の清水義彦教授は「この70年は同規模の降雨がなかっただけ。いつ起きても不思議はない」と警鐘を鳴らした

 ▼九州北部を教訓に、政府は見落とされがちだった中小河川の水位計測や避難基準の策定を自治体に求めた。行政の監視に加え、2019年度完成予定の八ツ場ダム(長野原町)など施設整備も必要だが、身の回りの危険箇所を自ら把握し備えることが重要だ。