▼前橋市役所の南に、れんがの外壁を持つ真新しい建物が姿を現した。先日、「桃井」の金文字が入った校章が掲げられた。県内最古145年の歴史がある前橋桃井小の新校舎建設工事が来年4月の授業開始に向けて進む
▼新校舎のキーワードは「複合」だ。3階建ての校舎の一部に、住民向けのコミュニティーセンターと消防分団の詰め所を併設。敷地内にポンプ車が待機することになる
▼調理室や音楽室、図工室は児童、住民の双方が使う。学校と地域の距離が縮まり、書道や和楽器の授業で住民が特技を生かし、学習をサポートする機会も増えそうだ
▼桃井小は1872(明治5)年に開校した第一番小学校厩橋(うまやばし)学校の流れをくむ。児童数が増加し、1957年に中央小が分離、新設されたが市街地空洞化や少子化で2016年に統合した。現在は一時的に、旧中央小校舎で397人が学ぶ
▼交通安全教育に力を入れ、全国表彰された旧中央小の校庭に信号や横断歩道を模した「交通公園」がある。これをシンボルのクスノキの幼木とともに新校に移す計画だ。桃井小には同校卒業生、鈴木貫太郎元首相の教訓「正直に腹を立て ずに撓(たゆ)まず励め」を刻んだ石碑や一本松があり、シンボルは融合していく
▼少子化の流れは変わらず、今後も学校再編は続く。新しい複合のスタイルが関心を集めそうだ。