▼20代の頃、都内に車で出掛けると、湘南や品川、横浜のナンバーが格好よく見えた。時たまの群馬ナンバーは、友人から「群れが来た」と妙な感心のされ方だ。単なる地名なのに、いろんな思いが込められるのはどうしてだろう
▼ご当地ナンバーの第3弾の募集に伴う県内の動きが興味深い。桐生、太田、みどり市の「渡良瀬」ナンバーと、伊勢崎市の「伊勢崎」が検討され、伊勢崎市は市民アンケートの結果を踏まえて申請を見送った。同様に渡良瀬については太田市が不参加となり、栃木県足利市が急きょ加わる展開だ
▼民意を問い、離脱や合流もある。市域をめぐって二転三転した平成の大合併が思い起こされる。市町村合併の論議でも住民の関心の矛先は、自分の住所に表す地名のことが多かった
▼ご当地ナンバーの論議は、静かに熱い。神奈川県横須賀市は現在の横浜ナンバーから「横須賀」への変更を考えたが、市民にノーを突きつけられた。奈良県
▼渡良瀬ナンバーが実現すると、県境をまたぐ取り組みとしては山梨、静岡両県の「富士山」に次ぐ。正式な申請に向けて再び市民アンケートを行い、今度は新たな3市枠で賛否を問う
▼足利市の担当者は「日頃の交流があり、一緒の行動は自然な流れ」。行政の垣根を越えた一体感がそこにある。