▼先週の日曜日、高崎市南新波(みなみあらなみ)町の稲荷(いなり)神社で行われた新嘗祭(にいなめさい)に参加した。神主の祝詞に続き、氏子約10人が玉串をささげ、今年の収穫を祝うと共に来年の豊作を祈願した

 ▼歴史は長いものの、文化財指定などされていない小さな神社だが、長く「鎮守様」として親しまれ、守られてきた。今でも歳旦祭や春秋の例祭、新嘗祭を行っている

 ▼祭礼に参加したのは初めてだった。集まった氏子の多くは70~80代で、50代前半の筆者が最年少。地域の伝統行事や芸能、文化活動の担い手の高齢化を目の当たりにした気がした

 ▼仮に地域の伝統芸能や行事が途絶えてしまっても、そこで暮らす人たちの生活がただちに立ちゆかなくなることはない。日々の仕事にも、大きな影響はないかもしれない

 ▼しかし、伝統芸能や行事は、地域の歴史風土を色濃く反映したもの。それを継承していたり、語れることは、生まれ育った土地を離れて暮らしたり、仕事をする中で、役に立つことがあるはずだ

 ▼すぐに役立ちそうなこと、すぐに効果が見込めそうなことばかりが優先されがちな現代。いつ、どこで役立つのか分からないようなことを、新たな担い手候補に理解してもらうのは容易ではない。それでも続ける意味はある。まずは自分自身から。地域の伝統行事に、もう少し積極的に関わっていきたいと思う。