▼東京の街並みは早くもクリスマス飾りで彩られている。家族や恋人との時間が温かく演出されるこの季節は一方で、不遇にある人には孤独感をより強めがちな時季かもしれない

 ▼そんな想像に浸るのは、週末に東京・渋谷で開かれた福祉を考えるトークイベントをのぞいたからだ。事情があり親と暮らせない子供が生活する児童養護施設や乳児院の関係者が、支援の在り方を提言した

 ▼登壇者の一人は、全国の施設にランドセルなどが届けられる「タイガーマスク運動」の先駆けとなった前橋市の河村正剛さん(44)。自らはランドセル代わりに手提げ袋で小学校へ通い、心ない悪口に傷ついた

 ▼都内や県内で施設ボランティアを20年ほど続ける。聴衆に「慈善活動をあえてする必要はない。まずはわが子を、そして親戚の子、近所の子を気に掛けてあげて」と訴えた

 ▼河村さんの活動に賛同した前橋市はふるさと納税を財源に、施設を巣立つ若者の支援を始めた。施設を出る際に15万円を支給し、車社会の群馬県で就職に必要な運転免許の取得費助成も行う

 ▼この取り組みは、ふるさと納税サイトが優れた使途を顕彰する「ふるさとチョイスアワード」の大賞候補にノミネートされた。30日の最終選考会で市担当者と河村さんが発表に臨む。注目され、県内外に同様の支援が広がるきっかけになればいい。