▼こんなに気をもむとは。無事に審査を通過して本当に良かった。高崎市の三つの古代碑「上野三碑」が国連教育科学文化機関(ユネスコ)の「世界の記憶」に登録されることが決まった
▼登録を審査するユネスコ国際諮問委員会は24~27日、パリで開かれた。事前公表された議事日程では25、26の両日が上野三碑を含む新規登録案件の審査日。関係者は登録発表を今か今かと期待した
▼ただ、審査は非公開で審議内容が公表されない。肝心のユネスコ事務局長による登録可否の結果発表日時も明らかにされず、やきもきさせるばかりの仕組みとなっている
▼中国や韓国などの民間団体が、旧日本軍による従軍慰安婦の被害を訴える資料の登録を申請していることも懸念材料となった。今年の新規登録案件は全て保留となり先送りされるのではないかとの見方すらあった
▼それでも登録推進協議会の横島庄治会長らは、国家間の意見対立と無縁であることに加え、東アジアに広がる国際的な価値を挙げて「落ちる要素はない」と三碑の登録を信じ続けた
▼朝鮮半島から渡来した人々の協力によって建てられた三碑。異なる文化をもつ人々が争うことなく、共に生活した「多民族共生社会」があったことを示す証しでもある。登録は、ユネスコが三碑のこうした価値を認めたと言えるのではないか。