航空界は2030年問題と言われる乗員不足が喫緊の課題です。数年後に団塊世代のパイロットが大量退職し、公共交通機関としての航空インフラがソフト面で機能不全に陥ると予想されています。

 現在はコロナ禍で航空需要は激減していますが、ワクチン接種でコロナを克服した後は、訪日外国人6千万人を目標にしている観光立国の日本は航空交通量が激増し、首都圏の成田、羽田の両空港が再び飽和状態となり、ハードとしての空港の機能不全も予想されています。

 国内で民間機が使用可能な空港は97カ所あり、例えば鹿児島県内には七つあります。一方で空港がないのは栃木、群馬、埼玉、神奈川、山梨、岐阜、三重、滋賀、京都、奈良の1府9県です。

 増大する航空交通量の軽減のためロンドンでは市周辺部に空港を分散して飽和状態の解消を図っています。

 首都圏に近い茨城と静岡に空港が新設されましたが、群馬県からは遠く不便です。県内には航空機関としては群馬ヘリポートと高崎ヘリポートがあり、ドクターヘリなどが活躍していることはご存じの通りです。

 そこで私は、群馬県内への空港の新設を提案します。

 空港新設には難問が存在しますが、特に騒音被害予想による用地確保の難しさがあります。約半世紀前の成田空港新設時は激しい抵抗運動があり、国内の空港新設はトラウマになっています。当時は成田空港による現在の繁栄を予測できなかったものと思います。

 現在は飛行機の騒音には厳しい環境基準が設定され、当時とは隔世の感があります。私は宮崎空港の南3キロに住んでいますが、上空通過機に気付かないほどです。東京出張で利用する際は、出発予定時刻の1時間前に自宅を出れば搭乗できます。

 空港用地確保について札幌、茨城、徳島など国内11空港では防衛省と民間共用で空港を活用し、地域経済に貢献できています。

 空港新設にはもちろん地域のコンセンサス(同意)が必要です。例えば榛東村の防衛省相馬原飛行場の滑走路を延伸舗装して軍民共用空港とすれば、高速道路や新幹線駅にも近く、県内どこからでも2時間以内にアクセスできます。地理的に日本の中心に位置するハブおよび貨物基地として県民が旅行やビジネス、物流で世界に容易に展開できる拠点空港になり得るので、コンセンサスを得られるのではないかと考えます。

 空域問題は防衛省と航空局で検討していただく必要がありますが、県民の皆さまの継続的な熱意が難問を氷解できるものと考えます。

 本稿内容は私の個人的な意見で、国土交通省、文部科学省、航空大学校と全く関係はございません。



航空大学校特任教授 梅村行男 宮崎市

 【略歴】航空大学校教官で宮崎の本校のほか、分校に勤務。文部科学省輸送計画委員会委員。元航空事故調査委員会(現運輸安全委員会)航空事故調査官。吉岡町出身。

2021/06/16掲載