▼自民党の人も異論はあるはずだ。衆院解散は安倍晋三首相の「森友・加計問題の疑惑隠し」と受け止められ、個人的にはいわれのない批判の中で選挙戦に臨む。トップの独断専行をひそかに嘆いておかしくはない
▼民進党の人は瀬戸際で悩んだはずだ。前原誠司代表のトップダウンで熟慮の間もなく事実上の解党と分裂に至った。「名を捨て実を取る」と聞いたが、希望の党との政策協定で魂まで捨てたかと疑念がよぎる
▼政治の定石を超えた奇手、奇策が駆け巡る。リーダーの言動に振り回され、出馬する本人が物言う機会、物言う意志はあったのだろうか。明日10日の衆院選公示で、いよいよマイクを手にする
▼「なぜ、そんなにうまくピアノが弾けるかって? それはうまく弾こうとしないからさ」とは、桐生出身のジャズピアニスト、山中千尋さんが敬愛するピアノの巨人、セロニアス・モンクの言葉だ
▼10日はモンクの生誕100周年に当たり、記念アルバムを発表した山中さんは先月の本紙連載コラムで「自分の音で演奏してみたいと心を揺さぶられたのはモンクの音楽が初めて」と書いていた
▼うまく取り繕おうとせずに、自分の言葉で語ってほしい。モンクの言いようをまねて、候補者へのお願いである。地方の課題を二の次にした党利党略よりも、あなた自身の率直な思いを訴える時だ。