▼「音楽は人々を結びつけ、相互理解を生み出す巨大な力を持つ。それは普遍的な平和の言葉」。富岡市で今月上旬に開かれた国連合唱団の公演で、国連事務総長のメッセージが読み上げられた

 ▼30人以上の合唱団員は全員、米国ニューヨークの国連本部職員。国際平和に関連する日常業務をしながら、余暇で練習と公演を重ねているという

 ▼カナダや日本、フィリピン、英国、ベルギーなど15カ国余りの国籍の団員が、母国の民族衣装姿でロシアやガーナの歌をネーティブの言語で歌った。後半は東アジアの平和を願い、日本の「大地讃頌さんしょう」や韓国、中国の曲を披露した

 ▼3日前に北朝鮮が6回目の核実験を強行していただけに、多様な団員が共に歌う姿が印象的だった。2度の世界大戦を経て、戦禍を繰り返さないために世界の国々が協力して国連が1945年に発足した歴史も紹介された

 ▼公演の3日後、音楽を通して平和を訴え町を元気にしようと、下仁田町で住民手作りの野外音楽フェスティバルと童謡愛好団体の20周年記念発表会が開かれた。どちらの主催者も、人々の交流や地域づくりのため今後も活動する思いを語った

 ▼国連事務総長は、戦争が避けられないものではなく、あらゆる国でいつも平和を称賛し、育てていく必要性にも触れた。平和の音楽を奏で続ける国でありたい。