▼台風一過の青空が広がる中、甘楽町と下仁田町にまたがる稲含山(いなふくみやま)=1370メートル=に登った。自然界の多様な営みを実感し、久しぶりに心が弾んだ
▼甘楽町秋畑の登山口から鳥がさえずる樹林帯を進んだ。タマアジサイが薄紫のつぼみを膨らませ、カミキリムシが動き回り、朽木にキノコが生えていた
▼自然の魅力を再認識する一方で、近年は豪雨や猛暑など異常気象を感じることが多くなった。富岡市の県立自然史博物館で来月3日まで開催中の企画展「アマゾンはいま」は、日本の20倍の面積がある南米の熱帯雨林の神秘と環境破壊が進む現状を示し、人ごとではない問題に気付かせてくれる
▼同館とアマゾンを研究拠点にする京都大野生動物研究センターが共催。大型魚ピラルクーや色鮮やかなカエルを生体展示し、ジャングルのほ乳類や鳥類の剥製、写真が並ぶ。牛の放牧や油田開発で熱帯雨林が伐採され、生物多様性が危機にひんしていると警鐘を鳴らす
▼地理学者の西沢利栄さんは著書『アマゾンで地球環境を考える』で、環境教育は幼児の豊かな感性を育むことから始まり、その中で無意識にする行動が大切と指摘する
▼アマゾンの住民は開発と保全のバランスを保って木を切り、木炭や木材として利用するという。山を知らない中学生の息子を連れ、稲含山を歩いてみたくなった。