▼富岡市の妙義神社参道沿いに、1804(文化元)年創業の「ひしや旅館」がある。フロントに「HEALTH-GIVING HALL HISHIYA HOTEL」と刻んだ古い看板が掲げられている

 ▼明治、大正期に日本アルプスを世界に紹介し、日本近代登山の父といわれる英国の登山家、ウォルター・ウェストン(61~1940年)から、明治期に称した「養気館」の英訳を教わり作った看板とされる

 ▼養気館には、「気を養い健康に」という意味が込められているという。当時から妙義山で外国人との交流があったことに注目したい

 ▼ウェストンは地元の妙義山案内人、根本清蔵(1876~1939年)を伴い、12年に鏡岩や筆頭岩を登った。互いを絹のロープで結んで登る近代的な技術を教えた

 ▼市によると、昨年度の妙義山の入り込み客数は82万人。市観光協会は「山の日」の11日、妙義山に感謝し魅力を発信しようと、妙義神社で登山の安全を祈願し、近くの道の駅で抽選会をする

 ▼ウェストンは1896年に英国で刊行した著書『日本アルプスの登山と探検』で、〈(横川駅は)碓氷峠の南の麓にあって(中略)目の前に、くしの歯のような妙義山の山体が立ちはだかっている〉と記した。富岡製糸場の世界遺産登録の100年以上前、世界に知られた妙義山の魅力を再認識したい。