▼世の中挙げて、働き方改革の大合唱だ。総論賛成で誰も異を唱えない問題は、得てして足元にある各論の課題が見過ごされがちだ。当たり前のように思っている日本企業特有の慣行が改革の見えない壁になっているという

 ▼経団連の改革推進策が、あしき商慣行の是正を掲げていた(26日付本紙)。論拠となった企業の実態調査では、長時間労働につながりやすい商慣行として「客先からの短納期要求」の指摘が最も多い

 ▼経団連加盟の県経営者協会によると、大手と下請けの力関係の中で小さな企業は納期に無理をせざるを得ない。親と子のような企業のつながりが根っこにある

 ▼企業慣行の是正は、労働団体の連合が経団連にかねて要望していた。連合群馬は人手不足の解消を基本に据えつつ、企業内の環境改善にも目を向ける

 ▼長い会議、無駄な資料作り、いろいろありそうだ。職場の宴会について、仕事が終わってどうしてまた上司の話を聞く必要があるのかと、そんなつぶやきも聞こえてくる時代だ

 ▼企業や人の、家族のような濃密なつながりは「日本社会の美風」とされてきた。だが、日本の時間当たり労働生産性がОECD加盟主要先進7カ国で例年最下位(加盟35カ国中20位=2016年)と聞くと、非効率な因習に思えて悩ましい。スマートな社会へ、身近なことから考えてみよう。