▼高校野球の夏の大会が始まり、連日熱戦が繰り広げられている。甲子園を目指して白球を追う球児の姿は、見る者の心を熱くする

 ▼桐生市の絹撚けんねん記念館は9月3日まで、企画展「甲子園に出場した桐生市の高等学校」を開いている。1999年夏全国優勝の桐生第一高を特集したグラフ誌、55年春に準優勝した桐生高のスコアブックが飾られ、ファンが見ればかつての感動がよみがえるだろう

 ▼桐生市は硬式野球部がある7校のうち5校が甲子園出場を果たし、春夏合わせた出場は47回に上るというから驚きだ。名実ともに「球都」と実感する

 ▼桐生市議会は今年2月、球都を売りにした観光振興の提言を発表した。アマチュア野球の合宿誘致や著名野球人のフォーラム開催で来訪者を増やし、地域経済の活性化を狙う。野球を観光利用する斬新なアイデアだ

 ▼学生時代に、野球を題材とした映画「フィールド オブ ドリームス」のロケ地だった米国アイオワ州の田舎町を訪れた。畑の中にぽつんとあるグラウンドを眺めると名場面がよみがえった。これも野球観光だろうか。野球ファンは裾野が広く、関連する観光には意外に需要がありそうだ

 ▼温泉やアウトドア、絹産業遺産。観光振興を目指す地域は個性がはっきりしている。桐生市は織物の街だが、魅力的な個性はいくつあってもいい。