▼厚生労働省が「日本総イクボス宣言プロジェクト!!」(ひろがれイクボスの輪)のキャンペーンを展開している。昨年12月に塩崎恭久厚労相自ら、部下の育児に理解のある上司=イクボスを宣言し、先月末に全国の賛同企業を発表した

 ▼子育てのイクメンをもじったイクボスという造語。考えだしたのは2011年当時、群馬県庁に入って1年目という労働政策課の若い男性職員だった

 ▼同年に父親の育児休暇普及策を課内で話し合ったところ、この新人のアイデアが採用された。翌12年度の県予算案内示をまとめた本紙の一覧表に、「ぐんまのイクメン・イクボス養成塾200万円」とあるのが世に出た最初のことだ

 ▼今や、全国の自治体や地方労働局にもイクボス宣言が広がる。育児休暇だけでなく、ワークライフバランスや女性の活躍を推進するメッセージとなった

 ▼地方と国の関係について政治学者の飯尾潤氏は自著『現代日本の政策体系』で〈全国一律の政策によって転換が起こるというよりは、各地の実践と、それを支える国レベルの政策が相互に刺激し合って新しい日本の姿が見えてくる〉と説く

 ▼群馬県での小さな実践が大きな風をはらみ、新しい働き方、生き方を訴えている。新人の提案を生かした自由な空気も、ちょっとうれしい。発祥の地なら、言行一致でイクボスしてみよう。