▼音楽を通じてバリアフリーを広げようと「GBGB2017」が先月、前橋市で開かれた。不慮の事故で半身不随となり車いすでステージに立つボーカル、奥野敦士さん擁するROGUEなど6組が熱演した

 ▼福祉の充実を目指し、ライブの収益で各地の社会福祉協議会などに福祉車両を寄贈する活動を続けている。会場には障害者向け無料招待席も用意している

 ▼ライブ当日は、仕事中の事故で7年前に頸髄けいずいを損傷し、車いすを利用する高橋宜隆さん(42)=伊勢崎市=の姿もあった。障害のない社会づくりを考える「障害平等研修(DET)」や障害者らを対象とする「思いやり駐車場」の利用改善に、精力的に取り組んでいる

 ▼話を聞くと、事故から間もなく、絶望のどん底でリハビリをしていた時、同じ境遇の奥野さんと出会ったという。その後「ずっと下を向いていた時期」に連絡を取り、奥野さんのアドバイスを受けた

 ▼そして4年前、初開催のGBGBで自分よりも障害が重い奥野さんがステージ上で歌う姿を見た帰り道に、「負けていられない」と現在のような前向きな気持ちを取り戻せたという

 ▼今年、会場を訪れたのは4500人。累計は2万7000人となった。「GBGBがなければ今の自分はない」と言い切る高橋さんのように、今年も多くの人がライブを通じて力を得たはずだ。