▼4775匹。今月1日で開所から2年になった県動物愛護センター(玉村町)で聞いた数字に考えさせられた。昨年度、交通事故など屋外で死んだ猫の数という

 ▼「ネコノミクス」(猫による経済効果)なる言葉も生まれるほどのブームの一方で見過ごせない数字だ。飼い猫の適正飼養に関するガイドラインの中で、県が屋内のみで飼うことを推奨する一つの理由になっている

 ▼猫の殺処分数の増加も気になる。昨年度は1567匹で、その前年度よりも344匹増えた。愛護センターの開設で飼い主が不明の猫などについて連絡しやすくなったこともあるのだろうが、犬の殺処分数が減っているのとは対照的だ

 ▼ワクチン接種や健康状態のチェックを施し、昨年度に新たな「家族」の元へ譲渡されていった猫は160匹で前年度に比べ6割ほど増えた。ただ、収容される猫の数も増え、殺処分ゼロには遠い

 ▼県は住民が協力し、不妊去勢手術をして適切に地域で世話をする「地域猫」活動の普及に取り組む。財源は全額ふるさと納税を見込み、本年度から寄付金の使い道のメニューに加えた

 ▼猫にも譲渡が成立しやすい色や性格があるとセンター職員が教えてくれた。ケージ内の子猫を窓越しに見た。愛くるしい。すべての猫が生を全うできるように、いっそうの取り組みの強化と善意の広がりを願った。