三山春秋
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▼〈富は有利化されたるエネルギー。しかしてエネルギーは太陽の光線にもあります。海の波濤(はとう)にも、吹く風にも、噴火する火山にもあります〉
▼内村鑑三(1861~1930年)の講演録『後世への最大遺物』の一節が今月刊行の環境白書に引用された。敗戦で国土の縮小と荒廃に直面したデンマークが荒れ地を牧草地に変え豊かな国へと再生した経緯を踏まえ、資源の有効活用の必要性を説いた
▼講演は1911年。石油や石炭といった化石燃料の活用に突入する時代に、再生可能エネルギーの有用性に着眼していた。白書をまとめた環境省の山田哲也計画官(渋川市出身)も「驚くべき先見性」と舌を巻く
▼講演から1世紀以上を経た現代。化石燃料への依存を続けた結果、地球温暖化は重い課題だ。深刻な懸念を各国が共有しつつ、対策の国際枠組み「パリ協定」から米国が離脱を表明するなど先行きに不透明感が漂う
▼県内も夏の猛烈な暑さやゲリラ豪雨といった異常気象にさらされる。環境変化に敏感な尾瀬国立公園では第4次総合学術調査が今月始まり、影響分析が本格化する
▼内村は自然エネルギーについて〈もしこれを利用するを得ますれば(中略)小なる国で足ります〉とも述べる。技術革新とともに、エネルギーの恩恵を自覚し省エネの観点で 生活を見つめ直す謙虚さも必要だ。