▼「おいしい顔ってどんな顔。おいしい顔ってどんな顔」。古いテレビCMで流れた音楽を思い出した。パンを食べる子どもの満面の笑みが大写しになり、ほっと心が和んだ記憶がある

 ▼CMが頭に浮かんだのは「高崎子ども食堂みんなでごはん」(高崎市井野町)を取材で訪れた時。食事を終えた子どもが食器を調理場に片付ける顔と迎えるボランティアスタッフの顔がCMの笑みに重なった

 ▼貧困や格差の問題を背景に低料金や無料で食事を提供する子ども食堂が県内で広がりをみせている。先月、ネットワークづくりに向けて県社会福祉協議会が開いた情報交換会には実施予定を含め16団体が集まった。孤食の解消や食育、居場所づくりへの期待も高い

 ▼一方で団体から「本当に必要としている人に支援、情報が届いているのか」と不安も漏れる。遠方から通う利用者もおり、移動の負担や開催回数の少なさを懸念する関係者もいる

 ▼「みんなでごはん」は支援を必要としていなくても一緒に夕食を取ることができる。大人1食500円は運営費の一部になる。「食べるボランティア」だという

 ▼フードバンクや一般からの食材の寄付も子ども食堂を支える。「おいしい顔」を増やすため、まだまだ一人一人にできることはありそうだ。今度は取材ではなく、夕食を食べにいこうと思っている。