▼勧められて食べた取れたてのミニトマトは実がしっかりとしていてみずみずしく、何より甘かった。県立農林大学校(高崎市)の学生が栽培したミニトマト。実際に市場へ出荷されるという

 ▼農林大学校は次代を担う農林業者を養成するため、1983年に設立された県内唯一の公立農学系高等教育機関。ルーツは1920年の農業技術員養成所にさかのぼる。本年度は1、2年生122人が学ぶ

 ▼近年の傾向は女性が増えたこと。今は33人が女性で特に酪農肉牛コースは19人中10人と半数を超える。もともとは農家子弟の後継者養成が主だったが、近年は非農家出身の若者が多く、本年度は4分の3に上る

 ▼経営の大規模化も伴って進む農業法人などへの雇用就農という「出口」が確保されていることに加え、「入口」に当たる農業系高校での女子人気も背景と学校はみる

 ▼学校が重視しているのが責任感を持った上での「実践力」。野菜は規格を意識し、搾乳は衛生管理を徹底して出荷する。夜中の牛の分娩(ぶんべん)に学生だけで対応することもある

 ▼「頑張った分だけ成果がある」ことにやりがいを見いだす学生たち。教官らは「自分で考えろ。考えた上での失敗は修正できる」「良く観察すること。言われたことをやるだけでは駄目」と説く。別の分野で可能性を探る人にもきっと響く言葉だろう。