三山春秋
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▼小説や詩、評論やノンフィクションなど、独自の文学作品を持ち寄って展示即売する「文学フリマ」が先月、前橋市で初めて開かれた。どんな作品が並ぶのかと興味を持ち、足を運んでみた
▼最初は流儀が分からず、見本誌を眺めながらうろうろと様子をうかがった。ブースを巡って出店者と話をするうちに、あれもこれもと購入し、予定を上回る出費となった
▼粉食文化の群馬県で昭和中期ごろに流行した「家庭用製麺機」の専門誌、鉄道の駅を擬人化した小説、前橋を舞台とした妖怪の物語―。一般受けはしにくいと思われるテーマの作品も多数あったが、それぞれの作者が注ぐ愛情の深さを感じた
▼文学フリマ前橋事務局の代表を務める同市の岩田恵さん(51)はフリマを「表現を流通させる場」だとする。伝えたいことを自由に文学で表してもらい、来場者と交流を楽しむ場を提供したかったと振り返る
▼新聞や本などの活字媒体が敬遠され、その代わりにスマートフォンやパソコンで膨大な文字情報に接している現代。フリマの文学作品は時に粗削りだが、その場でしか入手できず、紙を通じて、作者の熱を直接に感じられる魅力があった
▼文学フリマ前橋の初回の来場者は450人だった。岩田さんは来年に第2回を開きたいと考えている。前橋に文学の風が吹き続けることを願っている。