▼異なる漢字だが、訓は同じになる異字同訓の使い分けを調べる際、「新聞用字用語集」のお世話になる。例えば「まじる」を見ると、「交」は〈とけ合わないまじり方〉の時、「混」は〈とけ合うまじり方〉の時に使うとある

 ▼米国社会を表現した言葉に「メルティングポット(るつぼ)」があった。スープの具材が煮込まれて一つの味を生み出すように、人種や民族がとけ合って米国人になるといった意味で使われた

 ▼これに対し、多文化主義の浸透に伴って出てきたのが「サラダボウル」。一つの器の中で、レタスはレタスとして、トマトはトマトとして個性を保ったまま提供されるように、多様性の中で統一した社会を表す

 ▼排外主義が見られ、文化間の対立が続く米国を十分に表現しきれていないとの批判はあるようだが、前者は「混」、後者は「交」のイメージだろう

 ▼15日に大相撲の春巡業、上州高崎場所がある。筋肉質な「ソップ型」に太った「あんこ型」、四つ相撲に押し相撲など多様な個性のぶつかり合いが期待される

 ▼先場所、稀勢の里と優勝を争ったモンゴル出身の照ノ富士が14日目に見せた立ち合いの変化に「帰れ」との声が飛んだ。照ノ富士も負傷していたと聞く。国籍による発言だとしたら悲しい。「交」「混」いずれにしても、それぞれの力士の「違い」を認め、土俵を楽しみたい。