▼江戸時代に代官の部下の屋敷があった桐生市横山町界隈かいわい。「歴史的に重要な町だという誇りを持とう。にぎわいを取り戻そう」と、地元の青年組織「横山町若衆会」が立ち上がった

 ▼1日に「ヨコマチ代官まつり」を初開催。兵庫・西宮神社の「福男選び」をまねたメインイベントでは、市内外の健脚自慢30人が路地200メートルを全力疾走した

 ▼同日は第1土曜に当たり、桐生天満宮の古民具骨董こっとう市など「桐生三大市」が近隣で開かれていた。本町通りを行き交う人が、横山町へと足を延ばし、にぎわいが広がった

 ▼三大市の集客力を生かす新しい行事は、この1、2年で続々と生まれている。女性がエステやネイルアートなど癒やしを体験できる「レンガ創造市」、若手作家らに発表と販売の場を提供する「マチヤマルシェ」、着物で参加するスタンプラリーが毎月同時開催され、若者が街を歩くようになっている。各主催者の若者たちは「桐生を元気にしたい」と口をそろえる

 ▼桐生市は、伝統の繊維産業の売上高が右肩下がり。若者の流出による人口減少が続き、高齢化率33.6%は県内12市で最も高い。こうしたデータは客観的な事実だが、全てではない

 ▼人は苦しい時こそ現状を打破しようと努め、そこから新しいものが生まれる。桐生の若者が模索する先には大きな可能性が広がっている。