▼歳月を重ねた柱やはりが交差する屋根最上部の総やぐら。窓を開けると、春の空気が舞い込む。伊勢崎市境島村に残る大型養蚕家屋の一つ「進成館」は換気を重視する養蚕技法「清涼育」のために田島弥平が考案した櫓内部を見学できる

 ▼現当主らが毎月第3日曜の一般公開を始めた。弥平旧宅の世界遺産登録記念イベントなどの際に限られていたが、伊勢崎市が4月から同じ日に旧宅母屋1階にある「上段の間」を公開するのに合わせ定例化した

 ▼弥平旧宅の総櫓は内部が非公開のため、同じ江戸末期に作られた建物で構造や雰囲気を感じてもらう試みだ。地元住民らでつくる「島村蚕のふるさと会」がガイド役として協力する。見学者のために階段や手すりも整えた

 ▼世界文化遺産への登録から3年近くたち、弥平旧宅をはじめ県内の4資産の来場者は年々減っている。各自治体が情報発信や公開範囲の拡大を進めているが、歯止めは掛からない

 ▼そんな中、住民の自主的な取り組みは心強い。島村地区では旧宅隣の大型養蚕家屋「桑麻館」も2年前から養蚕道具や歴史資料を展示した2階蚕室を公開している

 ▼弥平旧宅では以前から住民らがボランティアで案内役を務め、来場者をもてなし、地元の魅力を伝えている。新たな動きが加わることで、一人でも来訪者が増えることを期待したい。