▼サクラの便りが各地から届くようになった。毎朝、相棒のフレンチブルドッグと散歩を楽しんでいるが、公園で華やかなアーチをくぐるこの時季はまた格別。若いころはそれほど気にならなかったが、年を重ねるごとに四季の移ろいに関心が高まっているのを実感する

 ▼ただ変わらぬ楽しみは花見酒だ。気の置けない仲間とにぎやかにやるもよし、一人ゆっくり味わうもよし。「年中行事」を口実に、酒飲みの罪悪感も多少は薄まる

 ▼サクラとともに主役となる酒だが、少子化や若者のアルコール離れで業界には逆風が吹く。限られた市場を巡って県内でもビール業界のシェア争いが激化しているという(3月16日付本紙)。各社は地域性の強い商品開発などで特色を打ち出す

 ▼ビールとともに、祝いの席で思い浮かぶのが日本酒だが、近年はチューハイ、ワイン、ハイボールなどライバルの躍進も目立つ。需要減少とともに、選択肢の多様化も業界地図に大きな影響を与えている

 ▼厳しい経営環境の中、県内でも多くの歴史ある地酒の蔵元が姿を消した。若手経営者からは強い危機感も聞かれるが、一方で酒造りへの情熱もひしひしと伝わってくる

 ▼伝統を次世代につなごうと奮闘する県内蔵元を応援したい。花見では定番のビールとともに、群馬の地酒をあらためて見つめ直してみては。