▼中国戦国時代の思想家、孟子。その母親は、わが子の教育環境が悪いとして3度も住まいを変えたとされる。幼児の教育には環境が極めて大切とする四字熟語「孟母もうぼ三遷」だ

 ▼保育所に入れない怒りをつづった匿名のブログ「保育園落ちた日本死ね」が昨年話題となった。「死ね」という衝撃的な言葉から、今も覚えている人は少なくないだろう

 ▼「第3希望の保育園を含めて全て落ちてしまい、4月からどうしようか悩んでいる」。高崎市内に住む幼子を抱えた女性が希望する保育所にことごとく落ち、途方に暮れていることを知った

 ▼女性は県外から高崎に家族で今冬移住。再就職先も決まり、新天地での出発は順調なはずだった。ところが、肝心の保育所が見つからない。立地のいい施設は入所希望者が相次ぐためとみられる

 ▼8年後までに人口を現在より約2万5000人多い40万人とする目標を掲げる高崎市。目標実現のためにも子育て世代の移住促進は欠かせない。4月には子育てや離職後の再就職に関する相談にワンストップで応じる「子育てなんでもセンター」も市街地に開設する

 ▼保育所が見つかっていなかった女性は、市関係者の奮闘で4月からの入所先を確保できた。最良の教育環境となることを願うとともに、事実上の待機児童が出ないよう市には不断の努力を重ねてほしい。