県内5例目となるCSFの発生を受け、桐生市内の養豚場で殺処分を行う関係者(県提供)=11月27日

 群馬県の前橋、桐生両市の養豚場で計4例のCSF(豚熱)感染が確認された。昨年に続く発生報告は、全国屈指の養豚県の関係者らに不安を与えた。同時に、ウイルスを媒介する恐れのある野生動物への対応や飼育する子豚へのワクチン接種時期の見極めなど、対策の難しさも浮き彫りにした。

 CSFが県内で初めて確認されたのは昨年9月の高崎市。今年は4月に前橋市、8月に桐生市、10月に前橋市、11月に桐生市で発生し、これら全5例での殺処分頭数は計2万8734頭に上っている。

 今年の4例はいずれも養豚場が密集する赤城南麓地域での発生で、リスクが最も高い生後30~60日齢程度の「離乳豚」の豚舎で感染が確認された。山本一太知事は5例目の発生を受けた11月26日の会見で「短期間で発生が相次いでおり、相当深刻。抜本的な対策の見直しが必要だ」と語った。その後、離乳豚舎周辺への消毒命令を出している。

 一方、子豚へのワクチン接種の適期判断は、この1年間、養豚農家にとって最大の懸案となった。国はこれまで、生後50~60日齢での接種を推奨してきたが、7月に「前倒しについて、より柔軟な検討が適当」とする新方針を通知した。

 県は通知を踏まえ「農家ごとに個々に対応していた」とする。ただ、検査に基づき接種時期を早める農家があった一方、「検査もなく、11月まで従来の日齢(50~60日齢)だと思っていた」といった声も上がっており、現場で情報格差が生じていた恐れがある。

 県は今月1、2の両日、独自の検証を経て「30~40日齢」を参考として推奨する文書を県内の全養豚農家に通知。3日の会見では山本知事が「(情報伝達について)知事として配慮が足りなかった」と謝罪した。農家とより丁寧に情報共有する方針が示され、13日には約4カ月ぶりに県と県養豚協会の会議も開かれた。

 CSFとの戦いは長期戦が予想される。北海道大大学院獣医学研究院の迫田義博教授は、ワクチン一斉接種から時間が経過したことなどにより、農場ごと、農場内の母豚ごとに免疫状態のばらつきが大きくなっていると指摘。抗体を十分に持っていない一部の母豚から子豚へ、移行抗体が受け継がれていない恐れがあると警鐘を鳴らす。「母豚の抗体付与状況の定期的な確認と分析、その結果をワクチン接種対策に生かしていくことが不可欠」と訴える。県養豚協会の岡部康之顧問は「危機感や知見を共有するため、県の分析を明らかにしてほしい」とし、県や養豚農家、専門家らでつくる「対策協議会」の設置を求めている。