冬場の流行が警戒されるインフルエンザの群馬県内患者の報告数が今季、第50週(13~19日)時点までゼロで推移している。新型コロナウイルスの拡大期と重なった昨季と同様の傾向で、感染対策の徹底が奏功しているとみられる。新型コロナ流行前を含む2019~20年の同時期は累計1500人超だった。患者が極めて少ない状況が続けば社会全体の免疫が形成されないとして、専門家は今後の感染拡大や感染した場合の重症化を懸念している。

 インフルエンザ患者が確認されると、県が定点として指定した87の医療機関が保健所に報告する。1定点当たりの報告数が1.00人を上回れば流行の開始とされ、県内は例年1~2月に流行のピークを迎える。今季は全国的にも低水準にある。

 県衛生環境研究所などによると、新型コロナの流行前を含む19~20年の群馬県は第50週時点で累計報告数が1523人、この週の1定点当たりの報告数は7.83人と上昇が顕著になり始めていた。特にこのシーズンは全国的な流行入りが例年より早く、厚生労働省が11月15日に発表していた。

 19~20年は累計1万5700人余りが報告された一方、新型コロナの感染が拡大した昨季の報告はシーズンを通しても、わずか7人にとどまった。

 昨季と同様の傾向が続く要因について、感染症に詳しい日本医師会常任理事の釜萢(かまやち)敏さん(高崎市)は「コロナ以前に比べ、感染防止にしっかり取り組んでいる効果が大きい」とみている。

 ただ、患者が極端に少ない状況がいつまでも続くことは考えにくいとし、「感染しなかった人が増えると、ある時点での流行が懸念される。昨季、今季と少なければ、来季はさらにリスクが高まる可能性がある」と指摘。大流行時には重症者が増える恐れがあるとする。

 今夏は、乳児を中心に発熱やせきなどの症状が出るRSウイルスが全国的に大流行した。新型コロナのまん延により他のウイルスの動きが停滞するという見方は「まだはっきり根拠を示せるほどではない」(釜萢さん)という。

 今季はインフルエンザ予防接種のワクチン供給が遅れたが、近く例年並みの量が供給される見通し。大流行の懸念を踏まえ、日本感染症学会は今季も接種を推奨している。