▼桐生市内の認知症カフェ。開所時間を迎え、お年寄りが1人、2人と集まってきた。「趣味で短歌を詠んでいるの」「夫が料理を作ってくれた」。輪になって話し、笑みがこぼれた

 ▼カフェは認知症患者や家族だけが集まる場と思われがちだが、一般のお年寄りも集う。外出し、友人と話すことが体と心の刺激になる。スタッフは、来所者に認知症の兆しがないか見守っている

 ▼認知症患者は全国に500万人おり、2025年には700万人を超えると予想されている。高齢者5人に1人の割合。家族や身近な人がいつ発症してもおかしくない。人ごとではいられない

 ▼家族にとってつらい病気でもある。世話をしても時には患者に怒られたり、怖がられたりする。徘徊はいかいして騒ぎを起こさないかと、昼も夜も気が休まらない。顔を忘れられることさえある

 ▼家族だけで支えるには限界がある。とはいえ患者数は中学生より多い。全て施設で受け入れるならば、中学校と同じ数の建物を造り、机と同じ数のベッドを備えてもまだ足りない

 ▼認知症サポーターの養成講座が盛んに開かれている。多くの市民に認知症を正しく理解してもらい、患者と家族を地域全体で支えようというのだ。講座を受け、認知症が怖くて目を背けていたことに気付き、反省した。自分に何ができるのか、考えてみよう。