私はもともと、動物や動物園が好きで、動物園で働きたいと思っていた。獣医師の国家試験を受けることができる獣医学科は6年制。大学2年の冬に初めて飼育実習を行い、その後もいろいろな動物園やサファリパークで獣医実習を受け入れてもらった。

 大学5年の冬、大好きな地元・北九州市の動物園である到津の森公園で実習を行った。その際、今でも尊敬する先輩、外平友佳理獣医師に「動物園は良い所でしょ。ここに来ると皆が笑顔になる」と言われた。

 それまで動物のことしか考えていなかった私は、動物園の仕事は動物のことだけを考えていれば良いわけではないことに気付き、とても衝撃を受けた。そしてその後、動物園に行くと、動物だけでなく、解説板や看板、展示方法、お客さまの反応など、さまざまな視点で施設を見るようになった。

 大学卒業後、実際にサファリパークで働き始めると、動物の見せ方でお客さまの反応が違うことを実感した。自分が知っている動物の魅力を伝えるにはどうすれば良いかを考えるのは、とても楽しかった。

 動物園での教育活動などにもとても興味が湧いた。他の動物園の方々と会ってさまざまな話をする中で、学芸員の資格を持ち、教育や展示に生かしている先輩たちの話も聞くことができた。学芸員は主に博物館で資料の収集や保存、展示、調査研究、教育普及活動などを行う国家資格である。その学芸員の資格に挑戦してみようと決意したのは、就職して3年目の春のことだった。

 職場の近くに資格を取れる大学などがなかったため、さまざまな方法を調べ、玉川大学の通信教育課程を利用することにした。12科目を選択し、学習指導書に沿って教科書を読み、指定されたリポートを提出する。リポートが合格したら、試験を受けて単位を修得する。教育論や博物館概論などで法律や基礎知識を学べることはとても勉強になった。正直、仕事との両立が不安だったが、興味のある分野だったため継続して勉強することができ、無事、学芸員の資格を取得できた。

 現在勤務する群馬サファリパークは、正式に博物館相当施設に認定されている動物園である。獣医師免許と学芸員の資格を持っていることでさまざまな仕事に関わることのできる可能性がさらに広がったと深く感じている。

 仕事を続けていく中で、もっとこういうことができたら良いなと思うことがたくさんある。そのために、自ら学んで資格を生かし、技術の向上を図っていくことは、この先もとても大事なことだと感じている。



群馬サファリ・ワールド獣医師 中川真梨子 富岡市南後箇

 【略歴】獣医師として九州のサファリパークに約4年勤務後、2015年7月、群馬サファリ・ワールド入社。動物の健康管理や治療を担う。北九州市出身。麻布大卒。

2021/05/22掲載