▼〈厚い氷に一尺四方くらいの穴をあけ、尻に蓆(むしろ)を敷き、傍らに石油缶を切った火鉢を置いて冬の朝、紫光の公魚(わかさぎ)を手にする興味はまことに深い〉(佐藤垢石(こうせき)『氷湖の公魚』)

 ▼釣り好きで知られた前橋生まれの随筆家、垢石(1888~1956年)がこの作品で取り上げたのは榛名湖(高崎市)。ここのワカサギを〈明るい淡青色で味がやわらかい〉として、上等だとたたえている

 ▼あす25日は七十二候で大寒の次候「水沢腹堅(さわみずこおりつめる)」。暦の通り前橋の最低気温の平年値は1月27日から2月1日まで氷点下1・2度で、このころが寒さの底になる

 ▼山間地では、滝のしぶきや崖からしみ出る水が凍りついて氷柱が日ごとに成長している。赤城大沼(前橋市)ではワカサギの氷上穴釣りが行われており、バラギ湖(嬬恋村)は28日に解禁となる予定だ

 ▼榛名湖と赤城大沼では東京電力福島第1原発事故により、ワカサギの放射性セシウムが一時基準値を超えて大きな打撃を受けた。既に濃度は下がり、ワカサギの持ち帰りができるようになっている

 ▼おいしい食べ方として垢石は白焼きのだいだい酢、から揚げ、みそ田楽などを挙げ、特にハクサイと合わせたちり鍋を推奨していた。今年は榛名湖も全面結氷しており、この湖で2011年以来となる冬の風物詩復活が待たれる。