私は登山ガイドなので、これまで3回は山に関して触れてきました。季節は移り変わり、すっかり初夏を迎えた現在は、湖や川でのカヌーガイドをメインに行っています。今回から2回に分けて、カヌーの魅力や心身への効果について紹介します。

 カヌーとは「パドルでこぐ小舟」のことで、カヌーをすることをカヌーイングと言います。カヌーはさらに「片側でこぐカナディアンカヌー」と「両側でこぐカヤック」に分けられます。分け方は諸説ありますが、この分け方が一般的です。

 私は主にカヤックのガイドをしており、実際使っているのは空気で膨らませる「パックラフト」というものです。「パックラフト」は携行するために作られたカヤックのこと。荷造りの「パッキング」といかだの英語「ラフト」を組み合わせてこう呼ばれています。重量は3~4キロと軽量で、山向こうの川へ歩いて持って行けるよう想定されています。もう一つは「フォールディングカヤック」という防水性の生地とアルミパイプでできた組み立て式のカヤックです。こちらは船体が強く、長距離をスピーディーに移動するためのものです。パックラフトは川や小さい湖、フォールディングカヤックは大きな湖で使います。

 二つに共通しているのは、水の上をパドルでこいで移動するということです。これが春から秋にかけて人気があり、毎年たくさんの方に楽しんでいただいています。

 カヌーイングはなぜ人気があるのでしょうか。私が考える一番の理由は、幅広い年代が一緒に楽しめるという点です。実際、私も4歳の幼児から80代の方までご案内します。年齢によって体力などには差がありますが、同じことをこれだけの年齢幅で楽しむことのできるスポーツはあまりないのではないでしょうか。特に夏休みは、両親と帰省した子どもが、祖父母と一緒にカヌーツアーに参加することもよくあります。

 カヌーツアーを行うフィールドはどこも絶景です。この時季であれば、雪が解け、夏に向けて青々と茂る生命力に満ちた森を楽しむことができます。他にも、早朝の無風状態で鏡のように美しい湖面「ミラーレイク」や、秋の湖畔を覆い尽くすほどの色鮮やかな紅葉を、湖の上からのんびりと眺めて味わうのは格別です。

 景色にあまり興味がない子どもたちは水遊びに熱中します。カヌーで風を切りながら、ひんやりとした水に手足を漬けることは、大人でも心が躍ります。

 今回は分かりやすくカヌーとは何か、カヌーの具体的な魅力を紹介しました。次回はカヌーイングの心身への効果についてお話ししたいと思います。



アウトドアガイド 須田建 みなかみ町上牧

 【略歴】2017年にみなかみ町のアウトドア会社「ワンドロップ」立ち上げに参加。自伐型林業団体「モクメン」所属。神奈川県藤沢市出身。東京農業大卒。

2021/5/19掲載