撮影に応じるカインズの高家社長(左)と東急ハンズの木村社長=22日、東京都内

 ベイシアグループでホームセンターを展開するカインズ(埼玉県本庄市、高家正行社長)は22日、生活雑貨を扱う東急ハンズ(東京都新宿区、木村成一社長)を買収すると発表した。共通して力を入れるDIY分野の相乗効果を見込み、手薄な都市部の店舗網を補完する狙い。東急ハンズはコロナ禍で業績が低迷しており、カインズの経営資源を活用して立て直しを図る。

 親会社の東急不動産ホールディングス(HD)と株式譲渡契約を結び、全株式を譲り受ける。来年3月31日に完了する予定で、買収額は非公表。同HDが入札手続きを行い、複数の候補者からカインズを選んだ。

 東急グループを離れることになるため、東急ハンズの社名や店名は変更していく方針。新会社の経営体制や双方の店舗の商品構成は未定とした。

 カインズは、2021年2月期の売上高が4854億円でホームセンター業界最大手。1万平方メートルの店舗面積を標準とする大型店を郊外中心に227店舗展開する。SPA(製造小売り)による独自商品が人気で、DIYスペースやワークショップも運営する。

 東急ハンズは、都内や横浜、大阪などの都市部と台湾、シンガポールに86店舗を展開。「手の復権」を掲げて手作りの魅力を訴求してきたが、電子商取引(EC)の普及やコロナ禍の営業時間の短縮で収益が悪化。21年3月期の連結売上高は前期比34.6%減の631億円に落ち込み、純損失は20年3月期が13億円、21年3月期が71億円と、2期連続で赤字を計上していた。

 都内で開いた会見で、カインズの高家社長は「パートナーとして新しいDIY文化をつくっていく。共通の価値観と事業の相互補完性の上にシナジーを発揮したい」と説明。東急ハンズの木村社長は「価値観を同じくする強力なパートナーが必要だった。いろいろな基盤を活用させてもらい、再飛躍したい」と話した。

相乗効果で新たな価値 DIY文化共通、社名変更へ

 ホームセンターを展開するカインズ(埼玉県本庄市、高家正行社長)による東急ハンズ(東京都新宿区、木村成一社長)の買収が発表された22日、両社長が都内で記者会見し、今後の事業戦略などを説明した。冒頭発言や一問一答は次の通り。

カインズ、ハンズ両社長 一問一答

 高家社長 両社で日常の暮らしを豊かに、楽しく、自分らしくする新しいDIY文化をつくり、世界に発信したい。地方中心で大型店のカインズと都市型のハンズの相互補完でシナジー(相乗効果)を発揮したい。カインズの持つSPA(製造小売り)機能やデジタル基盤、物流調達機能を利用してもらい、ハンズの価値を磨き上げてもらう。

 木村社長 「生活文化の創造のお手伝い」というハンズらしさを時代に合わせて拡張しており、価値を提供するスピードを上げる必要があった。カインズと新しい価値を提供していく。

 ―ベイシアグループは大型M&A(企業の合併・買収)をしてこなかった。

 高家社長 単純に規模を拡大するM&Aは一切考えてこなかった。今回はM&Aというより、両社の価値観や目指すDIY文化が共通していることから、共通の価値をつくるための新たなパートナーとしてハンズを迎え入れた。

 ―東急ハンズは東急グループから外れる。

 高家社長 社名は新しくする。店舗名は一定期間そのまま使うが、適切な時期に変更する。

 ―店舗・商品戦略は。

 高家社長 ハンズの店舗をカインズにするつもりはなく、ハンズの価値を磨き上げたい。そのためにカインズの商品が必要であれば、売り場を作るし、逆もあり得る。一番いけないのが中途半端にミックスさせ、両社のとがった部分が丸くなること。そうならないようにしたい。

 ―ハンズの魅力は。

 高家社長 45年前から「手の復権」を掲げて生活文化をつくってきたのはハンズのほかにはない。それを支えてきたのは従業員の商品への深い知識や編集力、目利き力でこれは一朝一夕にはできない。

 ―ハンズが低迷した理由は。

 木村社長 店頭でサービスを直接届けることに軸足を置いており、来店がないと収益につながらない。以前から経営指標で厳しい面があり、改革をしてきたところで新型コロナウイルスが来た。カインズとは共創関係になれるので事業を再構築し、互いに発展したい。

 高家社長 ハンズは都市部に店舗が多く、新型コロナの影響を受けやすかった。ただ、われわれは足元だけを見ているわけではない。ともにやっていくことで価値が磨き上げられ、業績に表れると確信している。